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東京高等裁判所 昭和28年(ネ)1841号 判決

控訴人 海野金八 外一名

被控訴人 株式会社山梨時事新聞社

〔抄 録〕

事実関係について、控訴代理人は、控訴人山口は本件建物の賃借人の一人である訴外原田雅義の内縁の妻であつて、その間には一子があり、これとともに生活するもので、山口は原田の家族である、よつて同人の本件建物の占有は原田の占有と同一視しても差支ない、また控訴人海野は右原田らが本件建物内に所持する物品の看視をするとともに、控訴人山口の手伝をするために本件建物の一部を占有しているもので、現在原田らは事業の再起を期しており控訴人らは原田らのため、本件建物の使用権を確保しているものであると述べている。

理由

控訴人らの当審における新たな主張はあたらしい防禦方法の提出であるが、この主張はその内容によつても明らかなように、原審でこれを提出できたものである、それを当審になつて提出するのは時機に後れたものというべく、これは少くとも控訴人の重大な過失によるものと解されるところ、成立に争のない乙第一号証によると控訴人山口い江と訴外兼義との間には、山口茂(昭和二四年七月二六日生)があることが認められるけれどもこのことだけでは右控訴人らの主張が理由があるかどうかを判断するに足りないし、原審における証拠によつても右主張事実は認められないから、右主張事実立証のためには期日を指定し、控訴人ら申請の証人および控訴人ら本人の尋問をすることを必要とすることとなり、訴訟の完結を遅延させるものというべきことは明らかであるから、民事訴訟法第一三九条により控訴人らの右新たな主張はこれを却下する。

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